| COVID-19の感染拡大は、世界の非鉄金属産業にも大きな影響を及ぼしている。まず、供給面では、中南米の資源国において、感染拡大防止のための人の移動制限等により、鉱山操業が大きな影響を受けた。また、探鉱費の削減や新規鉱山開発・拡張計画の遅延などにより、中長期的な非鉄金属需給の不安定化の問題も懸念されている。一方、需要面でも大きな影響が出たが、最大の非鉄金属市場である中国の経済回復が予想以上に早かったことで、非鉄金属需要は2020年後半には回復傾向となった。こうしたパンデミックリスクの顕在化は非鉄金属産業にとっての新たなリスクのひとつとなった。また、コロナ禍を契機としてデジタル化やサプライチェーンの強靭化の重要性が高まっており、非鉄金属産業としては、「強靭で持続可能な成長」の実現に必要となる高機能な金属素材の安定供給を果たしていく責務がある。本書では、こうしたコロナ禍による影響とパンデミックリスクに対する今後の備えとしての課題等につきまとめた。
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