| 自動車産業は国際競争力の強い産業として日本経済を牽引し続けており、2014年現在、
中国は生産台数、販売台数共に世界第1位の市場となっている。2014年の世界新車販売
台数は8720万台に達しており、2030年には1.4倍弱の1億2000万台に達するものと予
測される。自動車には貴金属、レアメタル、レアアース、ベースメタルなど、ありとあら
ゆる金属が使用されている。直近では、中国による資源の爆食やレアアースの輸出制限な
どの供給不安事象が頻発しており、今後成長が予想される次世代自動車には、ことに多く
の希少金属が大量に使用されることもあいまって自動車製造において鉱物資源をはじめと
する金属への深い理解と施策が必要となっている。
当研究所では、2008年に「自動車に使用される金属とその資源消費割合」と題すレポートを出版している。自動車に使用されている材料とその消費量、生産量に対する消費割合の相場観形成を試みた報告であった。
今回、本レポートでは2008年レポートとは異なるアプローチを取った。
第�敬瑤蓮⊆�動車とメタルの交差点である「主要金属の自動車での使用割合の推移・見通し及び安定確保」をまとめた。特に見通しにおいては現在から2030年頃までの時間軸での動向を分析した。
過去に何度となく資源の枯渇が論議されたが可採年数が短縮される気配はない。金属資源においては需給関係による価格変動が鉱山の稼働／不稼働を制御し、探査をモチベイトし、さらに探査・採鉱の技術進歩・革新がこれからも進み、生産技術が進歩して開発コスト・採掘コストが下がれば、可採埋蔵量は更に増加していくものと考える。しかしながら、個別の金属についてはその偏在性と、資源ナショナリズム、資源メジャー寡占化などの要因から一時的な供給問題が発生する可能性は高いものと思われる。この問題について本報告書でも一部述べている。
本報告書は、自動車に使用されるメタルの将来の需要動向と資源の安定確保(供給)を中長期的な時間軸で分析を行った。
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